臼を転がす猿と餅を拾う蛙
どんな伝承か
十二月に餅を搗くカビダレ餅の行事があるが、猿と蛙は搗く米も収穫していなかった。猿は蛙に、餅を搗く音がしたら赤子の泣き真似をしろ、騒ぎになった隙に餅を持って逃げると持ちかけた。首尾よく臼ごと餅を奪って山へ運んだが分け方で揉め、猿は山から臼を転がして先に取った方が全部もらうと言い張った。臼を追って猿が駆け下りるあいだ、跳ねて下りる蛙は木の枝に引っ掛かった餅や道に落ちた餅を拾い、小豆餅や納豆餅をこしらえて食べた。臼の中は空で何も食べられなかった猿は涎を垂らして餅をねだり、蛙は小豆餅を猿の顔めがけて投げつけた。あまり卑しいことはするなという話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。