頭の口で飯を食う鬼の女房
どんな伝承か
欲深い男が、飯を食わない嫁が欲しいと探していると、口のない女が見つかり喜んで嫁にした。嫁は何も食べずによく働いたが、幾日か経つと食べ物が減っていく。ある夜、物音に目を覚ました男が台所をのぞくと、ざんばら髪の嫁が髪を掻き分け、頭のてっぺんに開いた大きな口へ握り飯を次々に放り込み、鍋いっぱいの飯をたちまち食い尽くしていた。逃げようとして戸にぶつかり見つかると、嫁は髪を振り乱して追ってきた。必死に走る男に神が声をかけ、蓬と菖蒲の蔭に隠れろと教えた。男は言われたとおりに隠れて命拾いをした。あの嫁は鬼だったのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。