農繁期に火を焚いた火焚地蔵
どんな伝承か
熊谷市村岡にある地蔵は、火焚地蔵とも呼ばれてきた。農作業が立て込んで人手の足りない時期になると、この地蔵が炊事のための火を焚いて家人を助けてくれたと伝わる。地蔵の別当を務めていたのは宝蔵寺だという。編者は注で、紀伊の高野山南谷最勝院の本尊の地蔵にも、自ら焚火をしたので焚火地蔵と呼ばれたという似た話のあることを添えている。
原典より
農事のせわしい時、炊事の火を炊いて、手だすけをしたという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。