顔を打たれて鼻の欠けた地蔵
どんな伝承か
入間郡名栗村上名栗、今の飯能市の医王寺は、名栗川のほとりの鳥居観音から北へ二キロあまりの所にある小さな寺である。道沿いに南向きの雨よけの屋根があり、そこに地蔵が祀られている。いぼに悩む人は日を限って願をかけ、地蔵の顔を小石で打ち、削れた石の粉を包んでいつも懐に入れておくと早く治るといわれた。そのため地蔵の鼻は欠けてしまい、鼻かけ地蔵と呼ばれている。
原典より
疣を患うものが日を限って祈願し、地蔵の顔面を小石で打って、石の粉を包んでこれを常に懐中すれば、疣が早くなおるといって、地蔵の鼻が欠けている。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。