沖永良部島の魂離れの式
どんな伝承か
沖永良部島では最近まで、人が死ぬとその霊は天の庭へ上るという信仰が生きていた。死者が出るとすぐに葬るが、幾日かのち、多くは三日目に、魂分れまたは魂離れと称してユタを招き、神降ろしの式を行う。近親の女性ひとりを選んで死者の霊を乗り移らせ、その女性が決まった作法に従ってしばらく泉の水を浴びて精進すると、死者はようやく天の庭へ上れると信じられていた。良い人の魂だけが天の庭へ上るという考えもあったという。柳田は、ユタの教えとして手直しされた点はあるにせよ、これは明らかに尸者の行事であり、日本にも古く行われた痕跡があると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。