熱海来宮の鹿島踊
どんな伝承か
熱海の来宮神社では、七月十六日の例祭に古くから鹿島踊が行われており、そのかなり詳しい記録が『民俗芸術』三の八に報告されている。付近のいくつかの村の踊りもこれにならったものか、歌詞は互いによく似ている。歌は、神々をいさめる彌勒踊のめでたさをうたい、熱海の浦にみろくの御船が着いたと続け、艫には伊勢と春日、中は鹿島の社と唱える。足柄下郡ではこの句を真鶴の港にと、安房では鹿島の浦にと歌い替えており、『鹿島志』の初句を「まことやら」に改めただけで古い構造を保つ歌が、太平洋岸の広い範囲に最近まで伝わっていたと柳田は述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。