一夜で村中の田を植えた無量光院の田植如来
どんな伝承か
君津の小山野にある無量光院の本尊にまつわる話。昔、田植えのころに悪い病がはやり、村人は誰も働けずに困っていた。そこへどこからともなく坊さんが現れ、明日には田植えが終わるから安心せよと言う。その夜、田から水音と田植えの気配がし、翌朝には不思議にも村中の田植えが済んでいた。後日、村人が田植え終いのさなぶりの祝いで無量光院に集まると、本尊の阿弥陀様の腰から下が泥にまみれている。あの坊さんはこの御本尊で、阿弥陀様が田植えをしてくださったのだと村人は言い合った。以来この本尊は田植如来と呼ばれ、寺の山号も夜田植山と称するようになった。
原典より
君津市小山野の無量光院の本尊の話。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。