子を鷲に奪われ鳥となった娘くらっこ鳥
どんな伝承か
長柄町にくらという気立てのよい働き者の娘がいたという。両親を早くに亡くしたのち婿を迎えて男の子を授かったが、まもなく夫が病死してしまう。母ひとり子ひとりで働くうち、ある日田の畔に寝かせていた我が子を大鷲にさらわれ、くらは泣き叫びながら七日にわたり山野を歩き続けたと伝わる。着物の紺のもも引きは片方がちぎれて白い足があらわになり、ついに我が子を思う一念のまま鳥へと姿を変えたという。この鳥の片足が黒く片足が白いのは、そのもも引きに由来すると伝えられている。
原典より
長生郡長柄町にくらという気立てのよい働き者の娘がいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。