親の恩を知らず血を吐いて鳴くホトトギス
どんな伝承か
市原市鶴舞の音信山は、古くからホトトギスの名所として知られる。むかしこの山にいたホトトギスの親子の話である。親は子のために遠い野山まで出かけてはうまいものを集めて帰り、それを食べさせて早く一人前にするのを何よりの楽しみにしていた。ところが子は疑い深く、親はよそでうまいものを食い、その残りを自分に食わせているのだと不平ばかりいって、村中を飛び歩く不孝者であった。子のひがみに耐えかねた親は、ある日みずから腹をかき切って死ぬ。その腹からは、子がふだんまずいといって食べなかった蛙やとかげが出てきた。子ははじめて親の恩を知って泣き詫びたが間に合わず、ホトトギスはいまも悲しみに血を吐くまで鳴くのだという。
原典より
市原市鶴舞の音信山は、古くからホトトギスの名所として知られているが、昔、ここにいたというあるホトトギス親子の話である。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。