東京湾が氷結し極地の光景
どんな伝承か
関東地方は一月に入ってから珍しい寒気が続いたが、東京湾内の千葉県市原郡地方も連日の寒気のため、同郡姉崎町姉崎浦から君津郡長浦村、金田村番州地方に至る三里の内湾の沿岸線が、波打ち際から沖合約一哩にわたり、十三日の朝には全く氷結して、まるで極地の海洋のような光景を呈した。海面は波のうねりの姿そのままに真白く凍り、陽光が照り添って眩しい反射を見せていた。沿岸の氷の厚さは約二寸で、折から名産の海苔採取期にあたるため、海苔舟を動かすには氷を割って行かねばならなかった。沿岸の小学児童は、この大きな海のスケート場に北国の子供のような喜びを味わっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件