猪の贄
どんな伝承か
君津郡楢葉村奈良輪の東、坂戸市場というところに飯富の社がある。日本武尊、あるいは豊受大神を祭るといい、森深く神さびた社である。石階を上って百余歩の所に泉が地から湧き、一株の松に水を注いで、亀の足を組み合わせたような奇観を呈するという。昔はこの社の前に氏子と称する十二の村里の人々が召され、毎年陰暦六月二十七日に猪の供物を供えた。猪一頭を殺して皮を剥いで供える習いで、神の威光によって屠る者は救われ、供える家は幸われるとされたが、贄に供えられた者は不思議にも三日を待たずに皆死んだという。この儀式も後にいつとなく廃れた。
原典より
楢葉村奈良輪区の東坂戸市場(旧一宮村)といふ処に、飯富(いいとみといふ)の社がある。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。