長刀谷の岩に残る福原長者の蹄跡
どんな伝承か
護川の矢護川に住んだ福原長者は、おびただしい数の馬を持っていた。あるとき家の者に牛馬の数を尋ね、三百以上あると答えられても多いとは思わず、千にはまだ遠い、もっと殖やせと言ったと伝わる。長者は村の長刀谷という谷川で馬の足を洗い、この先も牛馬がいよいよ増えるなら、いま立てた馬の足跡に奇特があるだろうと独りごちて去った。すると岩の上に馬の蹄の形が残り、今日まで消えないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。