乳母と嬰児の身投げを伝える池
どんな伝承か
安倍郡入江町の池。乳母が赤子を抱いて通りかかり、赤子がひどく咳き込むので地面に下ろして水を汲みに行ったところ、その間に子は池へ落ちてしまい、乳母も後を追って身を投げた。今も小児の病にはこの池に祈れば効き目があるという。また文禄二年二月八日、亀屋九右衛門の妻が嫉妬のあまり身を投げたとも伝え、姥と呼べば水が湧き上がり、甲斐なしと言えばいよいよ高く泡を立てるともいう。延暦年間、江尻のそばの金谷長者が神仏に祈って授かった子が病に倒れ、乳母が池のほとりの地蔵に祈って身代わりに入水したという話も重なる。
原典より
永祿六年四月、太田道灌が川越城築城のとき神に祈り、朝一番先に訪れた者を献げる約束をした。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。