利根川の鰻漁の舟べりに現れた童子
どんな伝承か
明治三十九年初秋のころ、常陸の波崎村の漁師、篠塚平五郎と仁助の二人が利根川へ出て鰻漁をしていた。夜も白もうとする頃、舟の縁に不思議な怪物がうずくまっているのを見た。形は三尺ばかりの童子で、髪は肩まで垂れ、眼は爛々として身の毛のよだつばかりであった。漁師が怖気を見せまいと鉈を取り上げて睨むと、しばらくして怪物は水に飛び込み、その音はボチャンといって、いかにも軽い物が落ちたようであったという。この話を漁師から直接聞いた人の想像画をもとに、『河童百図』八十七図が描かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。