中ゥンダ山へ移ってもらった前口ブナガヤ
どんな伝承か
沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉の話。話者の生家は現在の四班の屋号前口で、その裏側にはジックン(やぶにっけい)の大きな木があり、シバサシー(旧八月十日の魔除けの祝祭日)の前後になると、この木を根城にして裏側の水田にブナガヤがよく出没した。色は赤く小さかったという。時々は粥鍋の蓋を開けて御飯粒を吸いとり水だけにしてしまい、その残り水はすえて食べられなかった。困った母が、ブナガヤは相談を聞き入れるけだものだと教えこまれていたので、御願をして中ゥンダ山へ移住してもらうよう頼み、自ら案内して行ったところ、以後被害は全くなくなった。前口ブナガヤと呼ばれる有名な話だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。