ザリガニ釣りで掛かった緑色の河童
どんな伝承か
話者が八歳ぐらいだった昭和四十一年頃の体験。家と学校のあいだを流れる江連用水へ、ザリガニ釣りに出かけた。餌は店で五円か十円で買える干しイカで、よく釣れるのは決まったくぼみだった。そこで糸を垂れていると、握りこぶしほどの痩せた、見たところふつうの蛙のようなものが掛かった。釣り上げて手でつかもうとしたら、裏の桑畑へ逃げられてしまった。その瞬間に「あっ、河童だ」と思ったが、あまりに素早くて追いつけなかった。体は緑色をしていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。