猟師を引き返させたガワッパの啼き声
どんな伝承か
上益城郡小峰村での話。木原谷小学校の菊池先生から聞いた話である。先生は大の猟好きだが、ある日猟師とともに山へ行く途中、猟師が突然「先生、今日はもう行かん、ガワッパが啼くから」と言い出した。先生が示された方に耳を向けると、鳥が空を飛びながら啼いていた。しかし猟師はどうしてもその音は山から聞こえてくるのだと言い張り、ガワッパが啼くときは山に入るものではないと言って引き返した。先生も仕方なくそれについて帰った。もっとも先生自身は、ガワッパの啼き声というのは鳥の声に違いないと、今でも信じているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。