明治のこと
どんな伝承か
埼玉県入間郡での明治のこと。栃屋谷の平九郎さんは鳥打ちが好きで、ある夜、コウモリ穴の近くへネトリブチに出かけた。ネトリブチとは夜寝ている山鳥を撃ちに行くことで、蝙蝠穴の付近はネトリが多かった。この夜も獲物が四、五羽あり、さらに探していると、突然穴の中でオホホと笑うものがあったので、気味悪くなって逃げ帰ってきた。家に着いて獲物を見ると、どれも皮と羽根ばかりになっていた。それからは会う人ごとに、コウモリ穴には怪しい天狗がいるからそこだけは絶対にネトリブチに行くなと注意して歩いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。