天狗と相撲を取り続けた政与門
どんな伝承か
高知県長岡郡本山町桑の川に、政与門という男がいた。若い頃、妻フジと結ばれ一男一女をもうけて幸せに暮らしていたが、フジが病にかかり、それを苦にして首を吊って自殺してしまう。妻の死を悲しんだ政与門も柿の木の枝に縄をかけて後を追おうとしたが、枝が折れて地面に落ち、それきり気が変になり山中をさまよい始めた。そこで若い天狗や年老いた天狗に出会い、代わる代わる相撲を挑まれては投げ飛ばされる日々が続いた。ある日、若く美男の天狗に力いっぱい挑まれ、政与門はついに勝つことができた。すると年老いた天狗が現れ「もう負けた」と言って逃げていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。