夢枕の願いを退けた山主と村の大火
どんな伝承か
ある年、子連れの山姥が奥平野のろうぜん滝の下の岩屋に巣ごもっていた。夜中に起きた山主が曇り空を見て、明日は山を焼いて蕎麦蒔きの支度をしようと決めて寝入ると、夢枕に山姥が立ち、雨は降らせないから子のために三日だけ待ってほしいと願った。山主はこれを聞かず、雨を恐れて山を焼き、三匹の子も焼き殺してしまう。山姥はふたたび夢に現れ、この村は十一年目に焼き尽くすと告げた。ほどなく村の大半が焼け、十一年目にはさらに大きな火事が起こったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。