二つ山の鳥居を直さなかった罰
どんな伝承か
八島湿原の西南から和田峠の三峯、二つ山、鉢伏にかけての山々には二百数十体の天狗が棲み、二つ山に祀られているのがその総大将だという。炭焼きの野口信市さんは十数年前、二つ山の頂上で木の鳥居が引き抜かれて投げ出されているのを見た。もったいないと思いながらも参拝だけして下ると、家で腰がひどく痛み出し、医者にかかっても治らない。行者に拝んでもらうと、鳥居を直そうと思いながら怠った罰だと告げられた。野口さんは行者らと登って鳥居を立て直し、御神酒を供えて皆で飲むと痛みは消えた。また天狗の怒りに触れた山仕事の男は、山開き前に登った帰りに転んで谷底まで落ち、まもなく死んだという。
原典より
セコのことをガワタロ(川太郎)ともいう。—— 現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。