雌猫を連れ帰った雄猫ミサノリ
どんな伝承か
昭和五五年の秋から初冬にかけての出来事。三年ほど飼っていたミサノリという雄猫が、秋の終わりにふいと家を出たきり帰らなくなった。初冬に入ったある日、みすぼらしい雌猫を連れて戻ってきて、二匹並んでスチームの上で眠っていた。ミサノリは大好物のイカさえ自分より先に相手に食べさせる。家の者が図々しい野良だ、情けないミサノリだと陰口をきいていると、ミサノリは雌猫を置いて出て行ってしまった。しばらくは様子を見に来ていたがやがて来なくなり、残された雌猫も半月ほどで姿を消した。菊池隆子が寄せた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。