提灯を注文したかんじさん狸
どんな伝承か
愛媛県宇摩郡土居町(現・四国中央市)の蕪崎には、八岐大蛇退治の櫛稲田姫を祀るという通称「おついこしさま」という社があり、その一隅にお使いの神とされる「かんじさん」を祀る小さな堂がある。かんじさんは狸だといわれ、昔から願いをよく叶える神として知られていた。大正七年頃、社の前に店を構えていた呉服屋の主人の名で、離れた村の提灯屋に堂用の提灯が注文されたが、後日届けに行くと主人にそのような注文をした覚えはなかった。かんじさんが主人に化けて注文しに行ったらしく、呉服屋は代わりに代金を払って提灯を堂に吊るしてやったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。