熊の沢の山小屋に迎えに来た色女
どんな伝承か
げんぞうさんという人が、世立の奥の熊の沢へしゃくし削りに出かけていた。五月の節句なので仲間は帰ることになったが、げんぞうさんは一こうり分に足りないので、もう一晩泊まって作ることにした。するとその夜、色女が迎えに来て、一緒に帰ろうと誘う。誘われるまま、おぶってやったりおぶわれたりしながら帰ってきたが、世立の上の門松のところまで来ると、女はふっと消えてしまった。げんぞうさんは家に帰ってから一週間ほど呆けたようになっていたが、やがて元に戻った。村の人たちは、狐かむじなに化かされたのだろうと話していたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。