電報より先に帰り着いた息子
どんな伝承か
高知県高岡郡長者では昭和十五年五月二十六日、長者郵便局で電信電話の取り扱いが始まった。それまで電報といえば死亡などの悪い知らせばかりで、届くと家中が心配で静まり返ったという。大正末期頃までは山越えの配達で日数がかかり、大阪の息子が「あさって帰る」と打った電報を、本人が配達人と道連れになって先に持ち帰ってしまったという笑い話も残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。