氷を洞穴で休ませた安居土居の氷室天神社
どんな伝承か
手箱山の氷を高知城下へ運んだ道筋には、氷を休ませたという言い伝えを持つ氷室天神社がいくつかある。いの町十田の西五キロほどにある大峠から、さらに北西へ二キロばかり手箱山寄りの仁淀川町土居、通称安居土居にも氷室天神社があり、十田と似た話が伝わる。昭和六年生まれの男性によれば、手箱山の氷はここを通っており、昼は暑くて解けやすいので、いったん神社の裏の洞穴に入れておき、暗くなってから城下へ向けて運び出したという。
原典より
周辺より著しく寒い土地がある天然クーラーの方は庶民が利用した世界遺産になった荒船風穴第10章 戦後も産屋に籠もる女性がいた産屋とは何か産婦の死と「ウブメ」安産祈願と犬卒塔婆—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。