栗栖野氷室の里・氷室町の厚い氷
どんな伝承か
京都市北区西賀茂氷室町は、『延喜式』に見える栗栖野氷室があった土地で、千百年前にはすでに氷室が置かれていた。京都御所から北北西へ七キロほどしか離れていないが、氏神の氷室神社のあたりで標高三百八十メートルほどの山中にあり、戸数は十数軒にすぎない。町内には三基の氷室跡が残る。昭和六年生まれの男性によれば、子供のころの昭和十年代には溜め池に厚さ二十五センチもの氷が張り、何人乗ってもびくともせず、十センチに満たない年はまずなかったという。気温は市街より四、五度低いが、近年は氷が一、二センチの年もあるらしい。
原典より
天然クーラーの方は庶民が利用した世界遺産になった荒船風穴第10章 戦後も産屋に籠もる女性がいた産屋とは何か産婦の死と「ウブメ」安産祈願と犬卒塔婆渡し舟で出産した女性の話—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。