変電所の社宅と水洗トイレ
どんな伝承か
埼玉県飯能市高萩で、昭和三五年頃のこと。東京電力に勤める父の転勤で、日本で一番大きいといわれた変電所ができたばかりの高萩へ一家で引っ越した。当時はまだ大変な田舎だったこの土地で、社宅の水洗便所やキッチンといった設備は、地元の人々を大いに驚かせたという。変電所では映画会も開かれ、電気ざぶとんなどいち早く手に入る文化的な暮らしぶりは、いつも土地の人々に文化の香りを感じさせていたと回答者・中島信子氏は振り返っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。