竹やぶの女の首を告げた夢
どんな伝承か
上野原の町に良江さんという十九歳の娘がいた。ある日、定期券を買うのを思い出してバスを降り、駅へ戻る坂道でアベックとすれ違った。帰りに近道のわき道へ入ると、竹やぶの中でガサガサと音がして、女の白い足が笹を蹴っているのが見えた。さっきの二人だろうと恥ずかしくなり駆け抜けた。年が明けた一月下旬の明け方、良江さんは夢を見る。あの坂道を歩き、次いで竹やぶの近道に立つと、雀が騒がしく鳴くなか、竹に挟まれた女の首があった。友人と現地へ行ってみると、夢のとおり半ば白骨化した女の首が竹に挟まっており、近くに首のない死体もあった。犯人はあのアベックの男だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。