危篤の母が縁先からただいま
どんな伝承か
母が危篤に陥ったその晩のことである。家に残っていた妹が死装束用の白い衣を縫っていると、庭の縁先から母がいつもと変わらぬ様子で「ただいま」と言いながら入ってきたという。その直後、病院から母の容体が急変したという知らせの電話が入った。生死の境にある者の魂が家族のもとへ現れたという、こうした体験談は全国各地から数多く報告されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。