羽の生えた八束脛と羊太夫の伝説
どんな伝承か
西上州、とりわけ多野郡吉井町(現在の高崎市)と甘楽郡甘楽町を中心に、羊太夫の話が広く語られてきた。その原型にあたる内容はすでに中世の『神道集』に見え、話の古さがうかがえる。日本三古碑の一つ多胡碑にある「給羊」の語から生まれた説話だとも言われる。これに結びついて利根地方に伝わるのが八束脛の話で、八束脛の両脇には羽のようなものが生えていたという。江戸の地誌『多胡砂子』をはじめ諸書に記され、吉井や甘楽には「羊太夫栄枯記」「八束羊太夫実録」といった写本も数多く残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。