蓋を置き忘れたタヌキの大茶釜
どんな伝承か
明和町の南大島に伝わる茶釜の話である。タヌキが佐野の鋳物師屋まで出かけて茶釜を買ってきた。帰り道に狸塚をまわり、高寺で一晩泊まったのだが、そのとき茶釜の蓋を置き忘れてしまった。釜だけを持ち帰ったので、こちらで別の金を使って蓋を作り直したという。置き忘れた蓋のほうは今も狸塚にあると言い伝えられている。この釜は水が一斗二升も入り、寺に客が千人来ても二千人来ても、これひとつで間に合ったそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。