千人の湯を沸かした古狸の分福
どんな伝承か
館林の茂林寺の和尚が美濃から帰る途中、箱根の峠で守鶴と名乗る若い坊主に供を願われ、連れ帰った。よく働き悟りもよいので分福と呼び、分福は代々の和尚に仕えたが幾年たっても年を取らない。ある年、千人の僧が集まる江湖会で茶の湯番を任された分福は、大きな紫金銅の茶釜をどこからか運んで来て千人余りの湯を間に合わせた。会が済むと朝寝をし、堂の中で大狸に化けているのを僧たちに見られた。和尚は口止めしたが分福は暇を願い、自分は釈迦の眷属の古狸で屋島の合戦のとき日本へ渡ったと明かし、置き土産に屋島の合戦と釈迦の説法を幻術で見せて姿を消した。茶釜は残ったが蓋が無く、分福が蓋を持って去ったのだと和尚は悟った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。