宝比べの一行が襲われた男滝・女滝
どんな伝承か
明治維新よりずっと前、宝を集めた松本の豪族が、京都へ宝比べに行く途中この宿に泊まった。宿役人や読書の役人衆は宝を奪おうとたくらみ、竹筒の湯で鶏の足を温めて夜明け前に鳴かせ、一行を早立ちさせた。そして四キロほど先の男滝・女滝で待ち伏せ、宝を奪って持ち主らを皆殺しにしたという。それで元日に鶏が鳴くのだともいう。昭和になって、先祖が宝比べの途中に妻籠のどこかで襲われたと聞くが場所を知らないかと遺族が訪ねてきたといい、語り手は本当の話だと信じる。宿役人の子孫の家に不幸があると、昔の悪事の報いだと噂する人もいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。