義賊めいた用沢小僧の石埋め
どんな伝承か
北郷村の用沢小僧は近郷で知らぬ者のない少年で、いたずらが過ぎて里人を手こずらせていた。その一方で足が速く身軽で、一日に二十里も走って用を足して戻るので、使い走りに重宝する人もいた。神出鬼没で、大きな家の座敷に押し入っては金を出させ、それを貧しい者に分け与えたという。そのときは天井を逆さに歩いて家の者を煙に巻いた。好く者も嫌う者もいたが、ついに嫌う側の声が勝ち、捕らえられて井戸に投げ込まれ、上から石を落として埋められた。それから家々に怪しいことが続いて家運が傾き、彼を供養する家は門口に石の塔を据え、灯明をともして弔ったという。注記では本名を庄兵衛といい、のちに延命地蔵尊として祀られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小山町史 第9巻 (民俗編)(小山町史)
『小山町史 第9巻(民俗編)』は、静岡県駿東郡小山町の町史の民俗編から、口頭伝承の章の伝説の節を抜き出したものである。石子詰にされた忍びの若者・用沢小僧の伝えを出典ごとに並べ、むらの名の由来、金太郎ゆかりの地と石、仇討如来や鬼鹿毛馬頭観音、村境の決め方、竹之下合戦にまつわる伝えなどを収める。富士山麓と足柄山のあいだの町に残る、地名と社寺・石に結びついた言い伝えが中心である。