大立山に揺れた六、七個の狐火
どんな伝承か
ある夜、眠っていた語り手は父に起こされ、大立山の方角を見るよう言われた。目をやると、提灯のような火が六つ七つ、ともったり消えたりを繰り返していた。ちょうど冬の寒い時期で、獣にさかりのつくカンブケの季節だったので、狐の雄と雌が体をすり合わせてそう見えたのだろうと語り手は考えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
滑川村史 民俗編(滑川村史)
『滑川村史 民俗編』は、埼玉県比企郡滑川村(今の滑川町)の村史の民俗編から、伝説と噂話の節を抜き出したものである。盗まれるのを拒んだ阿弥陀、生首八幡、福田鉱泉の始まり、河童の証文などの伝説と、オトウカ(狐)やムジナに化かされた話、三峯のオオカミ様、人魂や火柱などの噂話を、話者の地区とともに短い条で収める。沼と小高い山の多い村の、村人の身近な不思議の語りが中心である。