頭と胴が分かれて見つかった大鬼
どんな伝承か
昔、木島平一帯がカヤやヨシの茂る原野だった頃、どこからか大鬼が現れて村々を荒らしていたが、その姿を見た者はいなかった。ある秋の夕方、急に空が曇って真っ暗になり、天地が裂けるような大声が響いた。人々は戸を固く閉ざして震えていたが、やがて風もやみ、八日頃の月が照っていた。七、八日後、天神堂付近の草むらで大鬼の胴体だけが見つかり、上木島の照明寺の大門辺りには鬼の頭が転がっていた。以来、頭のあった方を上鬼島、胴の方を下鬼島と呼び、様子を計り見ていた往郷付近を計見と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。