水の精の姫が膳椀を貸した丸岩
どんな伝承か
霧ヶ峰や蓼科山から流れる川が合わさる、水に恵まれた村に、貧しい働き者の若夫婦がいた。水をことのほか大切にし、子どもが川で小便をするのさえ叱った。村はずれの道祖神に祈って男の子を授かったが、祝いに要る三十人分の膳椀がない。夫婦がそろって見た夢に、水の精の使いという白い着物の姫が現れ、数を書いた紙を丸岩の割れ目に投げ込めと告げた。そうすると翌朝、岩の前に膳椀が並び、礼を言って返すと割れ目へ吸い込まれた。村人も借りたが、五十人前借りて一つ返さぬ者が出て、姫は怒り貸さなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第1巻 3 (東信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第1巻(三)東信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち東信地方の伝説と世間話を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などの伝えを、条ごとに採集地を添えて収める。双子池や白駒の池の主、望月の駒、甲賀三郎、ごまを作らない村々の禁忌、京の岩・宮下・菱野村の七不思議など、佐久・小県の土地の伝えが並ぶ。