浜玉町での長期滞在と複数霊の憑依
どんな伝承か
佐藤愛子は長編小説を書くため、佐賀県唐津に近い浜玉町の宿に四十日間逗留した。宿に入るなり激しいラップ音がしたが、紹介してくれた地元の知人の手前、いつものように塩をまけなかった。床に入って明かりを消すと、眠りかけるたびに大きな音が鳴り、題目を唱えても朝まで眠れなかった。部屋を替えると音は収まったが、全身から力が抜け、食欲も失せて横になったきりとなり、原稿が進まないまま東京へ帰った。のちに霊能者は、九州で鎧兜の武将や、とがった帽子の蒙古の兵の霊を憑けてきたと告げた。地元で横死した武将の霊がいくつも憑いていたのだという。
原典より
霊媒体質の強い佐藤さんにこのとき地元の横死した武将の霊がいくつもついていたことが後でわかるのですが、この宿では少しも原稿がはかどらず、東京へ帰宅しました。—— あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。