祭りの記念写真に写った踊り好きの娘
どんな伝承か
昭和一四年夏、佐賀県藤津郡塩田町大草野の五代地区で、夏まつりの踊りのけいこが久池井虎治医師の大広間で毎日行われていた。「夕暮れ」を踊る五人の娘のうち、一番熱心で上手だったA子さんが本番前に病にかかり、「夕暮れを踊って死にたい」とうわごとを繰り返して死んだ。祭りの夜、残る四人が踊り始めると、A子さんが立っていた左から二番目の位置がつかえて踊りにくく、一人分の間を置かねばならなかった。踊りの後の記念写真には、左から二人目に死んだA子さんの顔がぼんやり写っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。