小目名でタマシと呼ばれるもの
どんな伝承か
青森県下北郡大畑町あたりでは幽霊という言葉は知られているが、この町の小目名部落では、通俗語の幽霊にもっとも近い霊魂現象をタマシと呼ぶ。昭和三十八年の時点で、幽霊を見たと答えた者はひとりもおらず、恨めしさを訴えるような事例も一例もなかった。小目名の火の玉は火柱と同じくタマシよりずっと大きく、火事の知らせと受けとられている。それと違ってタマシはシャボン玉のように白、青、黄色などに見え、直径十センチほどの風船のようなもので、長くなったり短くなったりしながら人の背丈ほどの高さをふわふわと飛ぶ。恐ろしくも何ともないものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。