元死体安置室で首を絞められた隊員
どんな伝承か
昭和三八年の夏の夜半のこと。埼玉県入間市の航空自衛隊入間基地にある警備小隊の宿舎T三三四棟の一室で、寝ていたT三曹が『だれかにいきなりのしかかられ、首を絞められて息が詰まった。逃げようとしても動けず、声も出なかった』と真っ青な顔で仲間の部屋に飛び込んだ。以前から『あの部屋には幽霊が出る』とささやかれており、体験者はT三曹を入れて九人もいた。この部屋は旧軍時代に航空士官学校の衛生隊が使った死体安置室で、戦後は米軍ジョンソン基地時代に朝鮮動乱の傷病米兵の病室になっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。