満月の夜に闇が立ちこめるトンネル口
どんな伝承か
昭和三十九年十月一日、東海道新幹線が開業した直後から、愛知県幸田町の坂野坂トンネルを通過する際、バックミラーに青白い男の顔が映って見えたと証言する運転士が相次いだ。食堂車のウェートレスが震えて泣き出したこともあったという。保線作業員の前にも工夫姿の男が現れては消え、出現地点はトンネル西口(幸田町側)から約二百メートルの地点で一致していた。工事中にはここで若い作業員が事故で死亡しており、その霊ではないかと噂された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。