茶壺の涙雨
どんな伝承か
長雨で地すべりが起きた幸田村大草の山寺部落で、村人が壺を拾い谷川で洗うと水が真っ赤に染まった。徳川家康の家臣松平清蔵がこれを譲り受け、夏に瓜を入れ忘れていたところ冬になっても腐らず瑞々しいままだった。清蔵は不思議な壺の由来を添えて家康に茶を献上し、家康はこれを喜んで代々将軍家の茶壺と定めた。以来、この茶壺が通るたびに必ず雨が降り、人々は故郷を恋しく思う涙雨だと語り伝えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。