ウキモノ(浮き物)
どんな伝承か
新潟県岩船郡粟島の沖合いでは、五月のうららかな花曇りの日、海上数里のかなたに、大きな魚とも小さな丘ともつかぬ何かが時折現れて浮き沈みすることがあるという。地元でこれを「浮き物」と呼び伝えている。不思議に思った船が近寄ってみても、そこには何の姿も見当たらない。正体を確かめようとした者は今のところなく、粟島の漁師たちの間で語り継がれる海の怪異の一つである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。