雪道を通る大草鞋の行列
どんな伝承か
最上川のほとり、大石田の旅籠に泊まった商人の話である。その日は夕刻から雪となった。夜半、ガヤガヤという声で目を覚まし、二階から街道を見下ろすと、雪はやみ月明かりで一面が明るい。その雪道を、何百丈とも思われる大きな草鞋を担いだ者たちが通っていく。担いでいる者の頭も体も手足も見えず、草鞋だけが動いていくのだ。雪の上には草鞋の跡が点々と残っていた。翌朝、どこからか大石田の寺に仁王が来ていたそうだと聞いた。寺僧は、担ぐ者の姿が見えなくてよかった、見えていたら目がつぶれていたろうにと語った。その寺には今も草鞋が山門に掛かっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承