持ち帰ると罰が当たる日御碕の浜石
どんな伝承か
大正七年の夏、著者が仲間と出雲半島の西端にある日御碕神社へ参り、社殿の裏の浜で一面に敷きつめたような美しい小石を拾っていると、昼食をとった宿の主人が大声で止めた。この浜の小石は神のもので、持ち帰るとみな罰が当たる、どうしても持ち帰るなら同じ数だけ他所から代わりの石を運んで置くものだという。その夜、社務所で尋ねると、神罰の様子までは知らないが、毎年参詣者が持ち帰った石を小包で送り返し、浜へ戻してほしいと頼んで来る者が少なくなく、この年もすでに六件あったと答えたという。
原典より
此濱一帯の小石は、神のもので、持歸ると皆罰があたる、若し是非共持ち歸るなら、その數ほど、他所から代りの石を運んで置くべきものだ—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)
『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。