死人を焼いた浜で必ずうなされる漁師
どんな伝承か
千葉県木更津市の話。火葬場が無かった昔、赤痢やチフスで亡くなった人は、ヤエンガやドンブリと呼ばれる浜へ運んで薪で焼いた。話者も六、七回は覚えているという。流れてきた死人が着くのも決まってこの二か所で、潮の加減らしい。アグリ網の大きな舟で沖へ出た者が、事情を知らずにこの砂浜へ舟を着けて寝ると、うなされて眠れなかった。夜のエビ取りの帰りに風が出て舟を着けた土地の者も同じで、焼き場の霊が残っているのだと言う人もいた。今も八月二十二日には施餓鬼をして、海難者の石碑などで供養を続けているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。