郷の峯で拾うと消える女客
どんな伝承か
今から二十年ほど前、高知県土佐郡土佐町あたりでの話。その頃は車も少なく、高知から客を乗せてきたタクシーが帰りに郷の峯あたりで女客を拾うと、走っている間にいつの間にか姿が消えている、ということがよくあったという。そのため大抵のタクシーは、帰り道が遠くても西へ回り、伊野を経由して帰ることにしていた。土佐の各地で同様の、消える女客をめぐるタクシー怪談が運転手仲間に語られていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。