村長も見た城下トンネル近くの人影
どんな伝承か
勢多郡黒保根村で、冬のさなかに幽霊騒ぎが起きた。発端は十二月七日の夜、会議へ向かう田沼新平村長が車で国道一二二号の下田沢、城下トンネルから百五十メートルほど東村寄りの山中を通った時、道の右から黒いタイツ姿の人影が大股で浮くように前を横切ったことだった。車を降りても石垣があるだけだった。その後も七、八人の村民が人影を見たり「オーイ」と呼ばれたりし、二十代の女性も緑の服の影を目撃した。現場では十年で六人が事故死しており、村議会でも供養が取り上げられ、有志の手で仮の供養塔が建てられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。